きらきら


「ねぇ那岐。大学、行きたかったね。」 それは果たせなかったことに対する感傷的な言葉。 那岐の鬼道の世界で千尋はふとそうこぼした。 「千尋?」 「いや、なんていうか、別にすごくね、あっちの世界にいたときには行きたかったわけじゃなかったんだよ。 でもなんかこっちの世界で女王してからちょっとそう思った。」 「わかるよ。」 「でしょ?なんか思ったんだ。」 「進路が女王なんて、みんな笑うだろうなぁ。」 「笑うって言うか、驚くよね。」 「そうだね。皆なにしているかな。」 そういって、考え込んだ後、彼女は少し照れたようにわらった。 「でもさ、私、別にあっちの世界だから良かったわけじゃないと思うの。」 「どういうこと?」 「私はね、那岐がそばにいるなら何処でも良いと思うの!」 照れたのか語尾が強く、彼女は言い終わった後顔をそらした。 そんな風になるくらいなら言わなければ良いのに、那岐はそう思いながらも、 胸に暖かい感情がわきあがる。 「千尋は馬鹿だよね。」 「な、何でよ。」 「だって、そんな価値ないとおもうけど。」 千尋が見てる世界は一体どんな世界なんだろうか。 いつもそう思っていた。 すくなくとも彼には自分が見ている世界とはまったく違うと思った。 「なんとでも言って良いよ。私は那岐がいるところならば何処だっていい所なの。」 「どこだって?」 「うん。きっと那岐が一緒にこっちに来なかったら私こんなに強く生きれなかったもの。」 そういって、彼女はさりげなく手に触れ指を絡める。 そのぬくもりは愛しくて。 「昔ね、私よく何処でも幸せそうだね、って友達に言われたの。そのときは良く考えなかったけど、 きっといま考えると那岐がずっと守ってそばにいてくれたおかげだよね。」 彼女は満面の笑みで目をそらすことなく、言う。 「ありがとね、いつも。」 そのよどみない瞳に彼はずっと惹かれていた。 そしていまとて彼の心を離さない。 でもやられるばかりでは性に合わない。 「千尋を守ることなんて当然だろ。」 赤くなる顔を隠しながら、 彼はにっこりと不敵にに笑っていった。 「自分のものを守らないやつなんていないだろ?」

積極的な千尋ちゃん。千尋は素直な子だといい。

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