千の笑みを超えて


どうしてこうなってしまったのだろう。 「キスして。」 そういった私に口付ける彼の気持ちなんてしらない。 ただ、口付けられるぬくもりだけが感じられるだけ。 どんなに深く絡めようと、その奥の心は触れ合わない。 これが運命だというならば、私はこれでよかったのかな。 布都彦は私の許可が無く髪一本だって触れない。 それが許されぬことだと知ってるからだ。 私が女王だと知っているからだ。 そして、私が女王でなくなることなんてなくて、 ずっと変わらなくて。 私はだから女王という力で、言葉をもって彼を縛る。 「ずっと、永遠に傍にいて。」 そういえば、彼は是と答える。 でも、それは彼が家臣であるからで、心の中など関係もなしに、 それは守られる。 彼は永遠に傍にいるだろう。 でもそれだけだ、 全てそれだけだ。 いつからか私は彼の瞳を見れなくなった。 そこに映る感情が、真実が見たくなくて。 そして今、私は彼を見ることすら怖くなっている。 真実は見たくなくて、そんな彼も見たくなくて。 あの一緒に旅した日々がまぶしすぎて、私を苦しめる。 手が触れることすら普通だったあの日々がうらやましすぎて。 自分自身の過去にすら強烈に嫉妬を覚えて。 何万回だって私がただの少女だったらと思った。 そう思っていま大人の女になった。 いつか、諦めれると思った思いは膨らんで醜く大きくなって。 布都彦がすきといえるただの千尋だったらよかったのに。 「キスをして。」 「好きといって。」 そこに何もない、かつての彼と彼女の関係などない。 かれは離れたくても、嫌になっても逃げれない。 でも、 彼は何度だって微笑むから。 私が、命じるたびに幸せそうに。 解放してあげようと思うときだって、 彼は微笑むから。 わたしはまだこの関係を終わらすことができない。
自己満足です。(言い切る)エンドの布を見る限り、積極的だったけどこんなのもありかなぁって。
この場合彼はどMですかね(笑)
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