幸せの音 忍人×千尋


とくんとくん 耳を当てると規則的に刻む鼓動の音。 生きている証。 それを聞くと私は何故だかわからないけれど、とても悲しくなって、そして とても幸せを感じるのだった。 「キミはそうやってするのが好きだな。」 私が胸の上に乗っているのをまったく感じさせない普通の声で忍人さんがそういった。 「なんだか、幸せになれるんです。」 幸せになれるだけじゃない、よくわからない深い悲しみもある。 自分がどうしてそう思うのかわからないけれども泣きそうになる。 「キミがそうしている間、俺じゃないことを考えているみたいで。」 「そんなことありません。」 「でも遠くを見ている。あまり喜ばしくはない。」 すこし戸惑ったようにそういう彼。 思いを通わせて傍にいるようになってから、彼が意外と嫉妬深いことを知った。 今日みたいに気づいているときはわかるが、 はじめのころは無意識で、本人も気づいていなくて、いきなり不機嫌になって驚いたものだった。 いまではわかる、彼が何かに焼いているということが。 でもそれはなにかで、別に他の誰かでもなくて彼で。 少しおかしくなって私は笑った。 「私は忍人さんのことしか考えてません。」 そう、この胸の悲しみはなになのか、わからない。 けれども、言いたい言葉がある。 素直に唇を動かせば。 「好きです。」 恥ずかしがって普段あまり言わない私が言ったことに驚いたののか、 彼が少し目を見開いた。 でも、今はただどうしても伝えたかった。 感情が堰を切ったかの様に訳もわからず涙をこぼしながら私は言った。 「生きていてくれてありがとう。」 部屋に飾った桜の花びらがひらりと散ったが、 二人はもうお互い以外は見ていなかった。
忍人は死ぬから。生存エンドの位置づけがいまいちわかりません。 遥か3と違ってあいまいな感じ。 転生か、別の次元なのか・・てなわけでよくわからないけど悲しいのな話。
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