桃色の髪を持つ少女は言う。 「エストは絶対絶対絶対私が幸せにするんだから!!」 毎日毎日、飽きることなく、呪文のようにその言葉は繰り返される。 「エストはきっと幸せになれるわ!いままでの分ももっともっとずっと。」 呪文をかけるかのように、降り注ぐ。 「エストがいてくれるだけで幸せなの、だからエストにとってそんな存在になれればいいと思うわ。」 僕が生きてきた人生の出会う前をうめようとするかのように。 「エスト、未来はきっと幸せよ、ううん一緒に幸せになりましょうね」 僕が後ろ向きに考えることなんてさせないというばかりに。 「エスト、楽しいわね!こういうの幸せっていうのね!」 まるで道を作るかのように。 「エスト大好きよ!」 尽きることがないかのように、その甘く幸せな言葉は僕に降り注いで。 僕を前向きに、幸せが感じれるかのように導いていく。 そう、こんな呪いならいくらでも受けよう。 彼女が導いてくれる世界は光にあふれていて、幸せにあふれていて。 僕が未来を信じたくなるのは、彼女の魔法なんだろう。


003:薔薇色の呪縛
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